That's amazing!とIt's amazing!の違い

 昨日(01/17/12),学内にBoston大学のMargaret Thomas先生をお招きし,講演をしていただきました。講演のタイトルは,ENGLISH IT AND THAT: MYSTERIOUS AND POWERFUL LITTLE WORDSで,itとthatの使い分けについてのお話でした。自分が使い分ける点でも,生徒に教えるという点でも非常にためになるお話だったので,ここで講演で取り上げていただいた一例をシェアしたいと思います。
 
A: Guess what? Our boss just won the Nobel Prize!
B: That's amazing!

Bの発話,That's amazing!に着目します。ここで,It's amazing!と言ってはいけないでしょうか。答えはもちろんYesです。It's amazing!はnative speakerにとって不自然だとおっしゃっていました。
 itとthatの使い分けには,いくつかの軸を置く必要があります。そのうちの一つとして,speakerのprior knowledgeの有無が関係します。itはspeakerがprior knowledgeがを持っていることが含意され,thatはspeakerがprior knowledgeを持っていないことが含意されています。すなわち,以下の場合であれば,It's amazing!が使えるといえます。

A: Guess what? Our boss just won the Nobel Prize!
B: Yes, it's amazing! I found about it on the Internet, and I've invited everyone from
the office to my house for a party.

前者は,ノーベル賞をとったというprior knowledgeがなかったため,thatの方を使い,後者は,ノーベル賞をとったというprior knowkedgeがあるため,itの方が使われています。