Jeoffrey Leech氏による講演会

 昨日(10/11/12),立教大学でJeoffrey Leech氏による講演会が行われました。テーマは,The English Language: Past, Present and Futureで,英語という言語が,過去から現在にかけてどのような変化をし,今後どのような変化をすると考えられるかということについて,コーパスを通じてLeech氏は考察していました。いくつか面白かった点を紹介したいと思います。
 Leech氏は英語の変化の特徴を,(1) Grammaticalization,(2) Colloquialization,(3) Americanization,(4) Democratizationの4つの側面から捉えていました。ここでは,(2)と(4)について紹介したいと思います。
 まずColloquilalizationとは「口語化」,すなわち書き言葉の領域で話し言葉的な文法,表現を用いることです。例えば,Semi-modal verbs(be going to,have toなど),Present progressive(進行形),Contraction(短縮形),Relatives with that or zero(目的格の関係詞の省略),S-genitives('sによる所有格)などは書き言葉でも用いられるようになっており,逆に,Passive(受動態)やRelatives with which, who etc(目的格の関係詞which,whoなど)は書き言葉でも使う頻度が減少してきているようです。
 そしてDemoctratizationとは「民主化」,すなわち話者間の不平等を起こす可能性のある文法や表現を極力用いないようにすることです。例えば,とりわけアメリカ英語において,命令文は力関係を示すことになるので,Why don't you〜やDo you want to 〜という表現を使う方が好まれる傾向にあるそうです。
 このように英語は現在も様々な変化をしています。その変化に敏感になる必要があります。とりわけ,英語教育に携わる人は実際の英語は「今」どうなのか,ということに基づいて指導に当たる必要があるとLeech氏の講演を聞いて感じました。