over the rainbow

 震災後,8ヶ月が経ちました。宮城県の幼稚園児たちが願いを込めて,虹色の旗を作ったということをDY(11/12/11付)は伝えています。今回はそのタイトルから英語表現を拾います。

Over the rainbow
Kindergartners hold up a 111-meter-long rainbow flag made by residents of Minami-Sanrikucho, Miyagi Prefecture, with the support of a citizens group on Friday, the eight-month anniversary of the Great East Japan Earthquake. The flag, meant as a symbol of hope for people in disaster-hit areas, was made by stitching together about 50 smaller flags on which people from various prefectures had written encouraging messages.
http://www.yomiuri.co.jp/dy/national/20111112dy01.htm

 over the rainbowは「大喜びをして」という意味を表します(『リーダーズ英和辞典』研究社』)。be over the rainbow [or <英> the moon]という形でも用いられ,「(...のことで)飛び上がるほどうれしい[楽しい]<about...>」という意味を表します(『ランダムハウス英和辞典』小学館)。ここで使われているrainbowという語は『旧約聖書』の創世記第9章にある「ノアの箱船」に由来する語です。創世記第9節の13節から16節を抜粋します。

すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。(13節)
わたしが雲を地の上に起すとき、にじは雲の中に現れる。(14節)
こうして、わたしは、わたしとあなたがた、及びすべて肉なる生き物との間に立てた契約を思い起こすゆえ、水はふたたび、すべて肉なる者を滅ぼす洪水とはならない。(15節)
にじが雲の中に現れるとき、わたしはこれを見て、神が地上にあるすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思い起こすであろう。(16節)

 大洪水の後に神がノアと交わした契約のしるしで、このような大洪水ですべての生命が滅ぼされることは今後ないということです。その契約のしるしが「虹」ということになります。つまり,虹が見えているときはキリストが再降臨しないというしるしです。over the rainbowには震災を乗り越え,希望の光がみえてきたという喜び,そして二度とこのような震災が起こらないようにという願いが込められているように感じます。
 他にもrainbowを使った表現があります。例えば,the end of the rainbowで「夢がかなえられるところ」という意味を表します。『リーダーズ英和辞典』(同上)によれば,「民話では,虹が大地と接するところには金の壷(crock [pot] of gold)が埋まっているとされ,そこからthe end of the rainbowは「夢がかがえられるところ」の意で用いられる」とあります。また最近では,rainbowを「様々な人種の強調」という意味で用いることもあります(『スーパーアンカー英和辞典』学研)。聖書の話と虹というのは色々関係があるようで面白いですね。