art

 昨日はやたらとartと縁のある日でした。そもそもの発端はThe Art of Choosingという本が『選択の科学』と訳されているということでした。そのあとは大学受験生からarticleについて聞かれたり・・・。ひたすらartについてしゃべっていた気がします。

 articleで大切なのは「全体の中のひとつ」というイメージをもつこと。それを頭に置くと大学受験では頻出の多義語(polysemic word)でも「記事」「条項」「品物」「冠詞」などの意味はすっきり頭に入ります。どれも「全体の中のひとつ」です。

 The Art of Choosingのartですが,もちろん「科学」という訳語で正しいのです。artには「学問の科目,(大学の)教養科目,一般教養科目(中世では文法・論理学・修辞学・数学・音楽・天文学;現代では語学・文学・哲学・歴史・論理・科学など)」という意味があります(『リーダーズ英和辞典』研究社)。これらは科学なんですね。

 そもそも,「科学」は「自然科学」「人文科学」「社会科学」の3つを指し,scienceと区別されます。「科学」は上記の意味をみればわかるように,文理問わず縛りのない科目,つまり専門科目の土台となるものなのです。余談ですが.「科」とは「〜科」と使われることからもわかるように,「分類」しているイメージをもつことは日英共通ですね。

 近年日本でも欧米にならって,Liberal Artsを掲げる大学が徐々にでてきています。Liberal Artsは「人を自由にする学問」ということで,時は古代ギリシアまで遡ることになります。専門領域しか学ばないことは,「奴隷」である。そうではなくて,広く「科学」を学ぶことで教養を身につけ非奴隷,すなわち自由人にならなくてはいけないと古代ギリシアでは考えられていました。広く学ぶことで,選択肢を削らない。最初から制約をつけずに,その中から自ら選択していくことが大切だということでしょう。制約のある中での学びは,「奴隷」しか生まないのです。現在の日本の大学では,専門知識を身につけることに重点が置かれ,教養を身につけるという色彩が強いです。しかしそれでは「奴隷」しか育たないからまずい,ということでLiberal Artsを掲げる大学が出始めたのでしょう。

 少々話しはそれましたが,The Art of Choosingという題名はそんな選択肢の広さの大切さをこめてartという語を使っているのではないでしょうか。実際に本は読んでいないのですが,アマゾンの内容紹介をみた限りではそのように感じました。