reel off

 以下はDY(01/20/13付)より抜粋したものです。

 Fukuhara, playing her first tournament since undergoing right elbow surgery in August, topped Ishikawa 4-2 in the women's singles final Saturday at the All-Japan table tennis championships at Tokyo's Yoyogi Gym.
 After falling behind 2-1, Fukuhara won the last two points of the fourth game to win 11-9 and tie the match. The fifth game was tied 8-8 when Fukuhara reeled off three straight points to win 11-8, then took the decisive sixth game 11-3.
 "I kept playing hard up to the end," Fukuhara said. "This win here boosts my confidence for the world championships in Paris in May."
http://www.yomiuri.co.jp/dy/sports/T130119003352.htm

 reelはもちろん,釣りに使われる「リール」と同じ語ですが,ここでは動詞で使われています。文脈から「3点連取する」といった意味だと推測できます。辞書で確認すると,「<米口>[得点]を連続して上げる,[勝利]を連続して勝ち取る」とあり,アメリカで口語的に用いられることがわかります(『オーレックス英和辞典』旺文社)。
 辞書を読んでいると,「(リストの人名など)をすらすらとしゃべる」という意味もあることがわかります(『ルミナス英和辞典』研究社)。LDOCEをひくと分かりますが,どちらも「何度も繰り返す」という点で共通しています。「リールを巻く」というイメージが単語の意味の中に残っています。参考までに,LDOCEより定義を引用します。

 1. to repeat a lot of information quickly and easily
 2. to do something again and again

That's amazing!とIt's amazing!の違い

 昨日(01/17/12),学内にBoston大学のMargaret Thomas先生をお招きし,講演をしていただきました。講演のタイトルは,ENGLISH IT AND THAT: MYSTERIOUS AND POWERFUL LITTLE WORDSで,itとthatの使い分けについてのお話でした。自分が使い分ける点でも,生徒に教えるという点でも非常にためになるお話だったので,ここで講演で取り上げていただいた一例をシェアしたいと思います。
 
A: Guess what? Our boss just won the Nobel Prize!
B: That's amazing!

Bの発話,That's amazing!に着目します。ここで,It's amazing!と言ってはいけないでしょうか。答えはもちろんYesです。It's amazing!はnative speakerにとって不自然だとおっしゃっていました。
 itとthatの使い分けには,いくつかの軸を置く必要があります。そのうちの一つとして,speakerのprior knowledgeの有無が関係します。itはspeakerがprior knowledgeがを持っていることが含意され,thatはspeakerがprior knowledgeを持っていないことが含意されています。すなわち,以下の場合であれば,It's amazing!が使えるといえます。

A: Guess what? Our boss just won the Nobel Prize!
B: Yes, it's amazing! I found about it on the Internet, and I've invited everyone from
the office to my house for a party.

前者は,ノーベル賞をとったというprior knowledgeがなかったため,thatの方を使い,後者は,ノーベル賞をとったというprior knowkedgeがあるため,itの方が使われています。

TOEIC730点以上で「語学力をプラス評価」

 もちろん,TOEICは英語力を測る良い指針になりますし,英語学習において好い短期目標となります。しかし,「TOEIC高得点保持者=英語コミュニケーション能力が高い」につながるわけではないことは忘れてはならないでしょう。以下に大手の企業の内定が決まった2人のコメントがありますが,ここから「TOEICが取れるようになってからが,本当の英語の勉強の始まり」と企業側はもちろん,学生側も認識していることが読み取れます。TOEICは通過点と思えることが重要なことでしょう。

「新卒採用時に英語能力を考慮するか」との問いに対し36%が「している」と答えた。「今後予定している」との回答を合わせると過半数の51.4%に達している。

「英語力の判断基準は」の問いについては、「TOEIC」が122社と圧倒的多数を占めている。「評価できるTOEICの点数は」との問いについては、「730点以上」が73社にまで及んでいる。

足並みを揃えたかのような、TOEICを物差しとした新卒採用での英語重視志向。リクルートが運営する就職ポータルサイトリクナビ」の岡崎仁美編集長は次のように説明する。

「求職者側には採用基準の明確化を求めるニーズがある。企業も厖大な応募者から厳選し、面接して採用しなければなりません。今は就職氷河期ですから、1社あたりの応募者も増えています。能力は英語力だけでは判断できませんが、TOEICは、効率的にしかも平等に基礎学力を測るという意味で、大学名とともにわかりやすい指標になっているのです」

実際、英語を重視する新卒者求人について、岡崎氏は「まだ兆しの段階で、これからもっと増えていく」と強調した。とりわけサービス業での動きが活発化するとみている。

「日本が観光立国を目指す中、特に観光業界で英語関連の求人が増えています。従来のような旅行会社関連だけでなく、外国人をもてなす地方の旅館などが、積極的に英語のできる人材を求めるようになるとみています」

ほかにも、内需頼みを脱却し、海外市場や日本にやってくる外国人の需要を開拓しようとしている医療関連業界、さらには「業務で使うソフトウエアや各種商品のマニュアル、仕様書がすべて英語」といったケースも珍しくないIT業界も、英語力の高い人材へのニーズが高まりつつある。

海外取引の多い製造業では、これまでの営業・販売系だけではなく、技術系職場でも高い英語力が求められるようになっている。実際、もともとコミュニケーションが苦手とされる理系の大学生たちも熱心に英語に取り組むようになっているという。

新たに海外に打って出ようとする企業だけではなく、もともと英語が重要視されてきた職場でも、もう一段の英語力アップを図っている企業が目立つ。

全日本空輸は、客室乗務員の新卒、中途の採用について「人物重視。英語力については、少なくともTOEIC600点程度を目安として求めている」(広報室)という。入社後は英語の通信教育への補助や英会話、ライティング、異文化理解などの研修を受けさせてレベル向上を図っているが、まだ改善点があるとしている。

「事業のさらなる国際化を進める中で、客室乗務員に限らず、それ以外の多くの職場で高い英語力が必要になってきている。だが、英語の上達には時間がかかり、費用対効果の面でも課題がある。社員の英語に対する意識改革を進めたい。今は行っていないレベル別の英語教育の導入も検討している」(広報室)

■立教国際経営学科の平均点769点!

では、大学、さらには懸命に意中の職場を探し求める学生たちはどう対応しているのか。

英語教育に力を入れている大学としては、7年前に開学し、学生に対して1年間の海外留学と寮生活を義務づけるなどのユニークな取り組みを進める公立の国際教養大学秋田市)や、08年に国際化教育の拠点である国際日本学部を開設した明治大学などが知られる。少子化や景気低迷を背景に、各大学ともに「英語」を看板にした就職支援やキャリア教育にこぞって力を入れている。

エントリーシートを見た何人かの面接官から『点数が高いね!』と言われました。でも、『オレ、できます』とアピールするような学生は、日本企業では嫌われると思ったので、『大学2年生までにTOEIC900点突破』という目標を設定して、それをクリアするためにこつこつと努力してきました、と冷静に答えました

そう語るのは、立教大学4年の田口憲之さん(仮名)だ。TOEICの点数はなんと960点。この“超”高得点も強力な武器となり、大手電機メーカーと大手化粧品メーカーの内定を勝ち得たのだった。

「英語力がないと海外と関わる仕事はできないと思っていました。私は帰国子女ではありません。でも、ビジネスで使えるレベルまで高めたくて、奨学金アメリカのシアトルに1年間留学したり、米国人の友人に協力してもらってリスニングの特訓に励んだりしました」

同大学でもう1人、4年生の橋本博さん(仮名)も、TOEIC805点取得の成果をフルに生かして、大手電機メーカー2社と総合商社の内定を勝ち取った。

海外で勤務したかったので、総合商社とメーカーを目指して就職活動しました。ある電機メーカーの面接では、『海外を希望するんだったら、このスコアを持っていればまずは大丈夫だね! これからの伸びに期待できる』と言われました

特別に自分からアピールしたわけではなかったが、志望動機として「海外で勤務したい」と答える以上、英語の能力は問われる。そのときに、エントリーシートに書かれたTOEICスコアが効果を発揮したという。

橋本さんの場合、大学3年時に最初に受けたTOEICの点数は515点だった。iPodを利用して英語を流し聞きするとともに、好きな洋楽を歌詞カードを見ながら声に出して繰り返し歌うなどして、日々訓練を続けた。3年の夏には、フィリピンへの語学留学も経験した。結果、1年足らずで300点近いスコアアップを実現できた。

立教大学は、伝統的に英語教育に力を入れてきた大学の1つだ。なかでも、経営学部は「仕事で使える英語力向上」に熱心に取り組んでいる。その代表例が、TOEICテストで900点以上を獲得した学生を表彰する「クラブ900」である。2年前に導入した制度で、該当者には賞状、記念品やメダルが授与される。

経営学部国際経営学科の松本茂教授は説明する。

「700点や800点レベルの英語力で満足してもらっては困ります。できる学生たちにモチベーションを与えるために始めた制度です」

同学科に所属する1、2年生は年2回のTOEIC受験が必須で、3、4年生は希望者が受験する。国際経営学科に在籍する約560人のうち、900点を突破しているのは41人に上る。4年生の平均点は769点だ。もともと国内の高校を卒業した学生を前提としたカリキュラムなので、900点以上の「高得点者」のうち、を占め、帰国子女の割合は2割程度しかいないという。

同学科では専門科目の7割の授業を英語だけで行っている。専門の授業に関しては、TOEICで600点、650点、700点以上といった具合に、英語の習熟度別に3段階に分けて講義を行っている。

TOEICは、英語で授業を受けるための語学力を証明する物差しとして活用しています。経営学部ではTOEIC対策の授業はしてません。『専門知識を活用しつつ、英語で議論ができ、問題を解決できる学生』の育成を目指しています」(松本教授)

単に「就職のための見せかけの英語力」を目指すというのではなく、本質的なコミュニケーション能力を高めようとしているという。企業人として外国人と英語で交渉ができるレベルにしておこう、という発想だ。

TOEIC「高得点者」の就職先には、日本IBMパナソニックソフトバンクNTTドコモ三菱東京UFJ銀行ソニー、丸紅など、著名企業がずらりと並んでいる。

松本教授は「日本企業の人事担当者の中には、専門科目を英語で学ぶことの意義をまだ理解していない方も少なくない」とも訴える。これからは「当たり前に英語を使いこなす新卒者」の必要性がますます高まるとみている。

http://news.infoseek.co.jp/article/president_7844

私の知る限り

 次の会話を英訳してみるとどうなるでしょう。

A:「キャサリンはもう戻ってきた?」
B:「私の知る限りまだです」

今回はこの「私の知る限り」を英語で考えたいと思います。「私の知る限り」と言われて真っ先に思いつくのは,as far as I knowやto my knowledgeです。しかし,ここでこれらを使わないだろうということは想像がつきます。この例文は,本ブログにも時々登場する『英文法汎論』より引用したものなのですが,本書によれば,

A: Has Catherine come back yet?
B: Not that I know of.

と,that I know of.という表現が用いられています。
 『スーパーアンカー英和辞典』(学研)によると,that I know ofは「私の知っている限り(否定の主節の後に置く)」と書かれています。LDOCEで,Not that I know of.とas far as I knowの違いを確認して見ましょう。

Not that I know...
used to say that you think the answer is "no" but there may be facts that you do not know about

as far as I know...
used to say that you think that something is true, although it is possible that you do not know all the facts or cannot remember completely

Not that I know.とは日本語の「たぶん...だよ」や「たぶん...なんじゃない?」に近い気がします。そう考えると,日常会話で使う場面も多いのではないでしょうか。

学会発表

 昨日(11/24/12)は学会発表をしてきました。テーマは,「エスノメソドロジー理論の英語教育への応用」でした。要旨を簡単に述べると,Conversation Analysis(CA)を用いて中学校の英語検定教科書を分析することで,コミュニケーション能力育成における問題点を指摘し,どのように解決すればいいかを示唆するものです。発表することで,様々な先生からコメントをいただきました。いくつかご指摘いただいた点をまとめたいと思います。

・タイトルが広すぎる
・検定教科書を改定前・改定後の比較
 →日本の英語教科書のCAの観点で進歩・改善点が見られることが証明
  できれば,より意義のある研究になる
・教材作成にはcompromiseがある
・検定教科書は語彙・文法など様々な制約がある
 (例えば,yeahも1語として見なされ,1/1200とカウントされてしまう)
 それらを考慮した上で分析・批判を行うべき
・具体的な解決策の充実
 e.g. NativeとのTeam Teachingを利用して,よりnaturalな会話にしてからpractice

 以上のようなご指摘をいただいたので論文のdiscussionにも取り入れていこうと思います。

 また,Discourse AnalysisやConversation Analysisの分野の研究は多くなされているが,それらの概念が教材に取り入れられたのはイギリスでもつい最近のことだそうです。最近出た教材として,The Handbook of Spoken Grammar(script→listening→会話練習)といったものがあり,作成者はこれまでにない画期的なものだと言っていたそうです。このコメントを聞いて,研究の方向性自体は悪くないものかと感じました。

 学会発表は色々な人からアドバイスをもらえる絶好の機会だと思います。これを今後の研究にも生かしていきたいと思います。

cross (adj.)

 以前も取り上げた,細井氏の『英文法汎論』(篠崎書林)より英語表現を拾います。第10章の「語の配置法」の箇所では,様々な語順について紹介されています。副詞の位置は日本人にとって厄介ですが,こちらについても詳しく説明がされています。ただ,やはり「口調がよい」からという理由で位置が決まる場合もあり,この辺りはネイティブの語感でしかわからないといったものもあるようです。ここでは,その中の例文にでてきたcrossを紹介します。

 They were never cross and always happy.―Galsworthy(p.198)

 ここで使われているcrossはもちろん形容詞です。この用法は主にイギリス英語によくみられます。『リーダーズ英和辞典』(研究社)によれば,「不機嫌な,怒りっぽい」とあります。LDOCEには,especially BrE angry or annoyingと定義されています。異なる2つの気持ちがクロスすると,不機嫌になったり,怒りっぽくなるということでしょう。
 また,『リーダーズ英和辞典』(同上)によれば,次のような比喩を用いて「ひどく気難しい,不機嫌である」という意味を表すとあります。

 ・(as) cross as two sticks
 ・(as) cross as a bear (with a sore head)
 ・(as) cross as a devil

どれも面白い比喩ですね。日本語ではこのようなたとえはしませんが,どれも何となくニュアンスが伝わってきます。

The best is yet to come.

 the gardian(11/07/12付け)に掲載されているオバマ再選のスピーチの冒頭箇所です。以下のURLにとべば,音声も聞くことができます。the best is yet to come.「これから最盛期を迎える」は英語の方が聞こえの良い言葉ですね。

Tonight, more than 200 years after a former colony won the right to determine its own destiny, the task of perfecting our union moves forward. (Cheers, applause.)

It moves forward because of you. It moves forward because you reaffirmed the spirit that has triumphed over war and depression, the spirit that has lifted this country from the depths of despair to the great heights of hope, the belief that while each of us will pursue our own individual dreams, we are an American family, and we rise or fall together as one nation and as one people. (Cheers, applause.)

Tonight, in this election, you, the American people, reminded us that while our road has been hard, while our journey has been long, we have picked ourselves up, we have fought our way back, and we know in our hearts that for the United States of America, the best is yet to come.

http://www.guardian.co.uk/world/2012/nov/07/barack-obama-speech-full-text