入試問題の長文化

 先日の江利川先生の講演でもう一つ考えさせられたことがありました。

「『多読が重要である』と言われる。だが,そもそも読むことができない者に多読と言った所で,それは多くを読んでいるのではなく多くを誤読しているにすぎない。(中略)訳読法批判の結果,現実にはわれわれは方法以前,つまり,『読書百遍,義おのずから通ず』の域に退行したのではないだろうか。最近の文法軽視の傾向と相まって,現在の英語教育の成果はかつての訳読法中心時代のレベルにも達していないのではないか」(伊藤和夫『英文解釈教室』1977)

 入試問題が長文化し,時間内に相当量の英文を読まなくてはいけないのは事実です。しかし,多読のみに走ることの危険性を上記の引用文は感じさせます。現代の英語教育は再検されるべき箇所は依然として多いといえます。