大塚英語教育研究会5月例会

 昨日(05/12/12),筑波大東京キャンパスにて,大塚英語教育研究会に参加してきました。例会は原書購読と講演の2部構成で行われました。後者の講演について,書きたいと思います。
 講演は,和歌山大学教育学部の江利川先生が「英語教育の歴史から学ぶ」というタイトルでお話ししてくださいました。ここでは,興味深かったことを2点ほど述べたいと思います。
 まず,小学校の英語教育導入は1884年鹿鳴館時代にも試みがなされ,かつ現在の問題と同じ問題が起きていたことです。例えば,英語教員不足や指導学年,母語養成優先vs第二言語養成かなどといった現在でも問題視されていることと同じことが問題になっていたそうです。
 また,江利川先生は,授業を英語でやるか否かに関する問題についても取り上げていらっしゃいました。そもそも授業を英語で行うことに関して,中教審外国語専門部会では「授業は英語で」という方針は議論されておらず,議事録にも収録されていないそうです。また,過去にも「授業は英語で」は挫折しており,Direct Methodを提唱したPalmerも1927年には自説を修正し,日本語の使用を容認したという歴史的事実もあるのです。歴史的にみると,「授業を英語で」というより「授業を英語だけで」やるのは危険だと改めて感じました。あくまで授業は英語で行うことを基本とするなのです。
 他にも興味深いお話がたくさんあり.英語教育の歴史から学ぶことはたくさんあることを実感しました。現在私も英語教科書を語用論の観点から分析していますが,歴史的なことにも視野を広げ,自分の研究に生かしていきたいと感じました。
 一度お目にかかりたいと思っていた江利川先生にお会いし,貴重なお話を聞くことができ,大変有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。