conservation vs preservation

 conservationとpreservationの違いとはなんでしょう。これが今回受けた質問です。確かに,辞書を見ると,どちらも「保存,保護」といった意味が辞書に見受けられます。今日は,こんな言葉から入りたいと思います。

保全(Conservation)の思想は、自然環境を人間のための<道具>であるとみなす。これに対して保存(Preservation)の思想は自然環境に<それ自体の価値>が備わっているとみなす。」

 これは,『自然に対する人間の責任』(パスモア,岩波現代選書,1998)にある言葉です。環境学において,自然環境に対して「保全」とみるか,「保存」とみるかは大きな違いがあるようです。上記をみると「保全」にはconservation,「保存」にはpreservationという語があてられています。『デジタル大辞泉』(小学館)では,「保全」とは,保護して安全であるようにすること,「保存」とは,そのままの状態に保っておくこととあります。次に,LDOCEでそれぞれの語義を確認します。

【conservation】
the protection of natural things such as animals, plants, forests etc, to prevent them being spoiled or destroyed

【preservation】
when something is kept in its original state or in good condition

 上記のことから,conservationは使いながらも酷使しすぎないように,完全にダメにならないように保護していくというニュアンスが,preservationには手を加えていない自然状態のまま保護しておくというニュアンスが含まれるといえます。